国民健康保険と社会保険の違いとは?メリット・デメリットを比較

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会社員から独立する際や転職の合間に、必ずと言っていいほど直面するのが「保険の切り替え」の問題です。これまで当たり前のように加入していた社会保険と、新しく加入する国民健康保険。名前は似ていても、その中身や負担額、保障の範囲には驚くほど大きな違いがあります。「どちらがお得なの?」「将来受け取れるお金に差は出る?」といった疑問を抱えている方も多いはずです。この記事では、国民健康保険と社会保険の違いを徹底比較し、それぞれのメリットとデメリットを浮き彫りにします。自分にとって最適な選択をするための知識を深め、賢く備えましょう。

保険料の算出方法と負担額の決定的な違い

国民健康保険と社会保険の最も大きな違いは、保険料がどのように決まり、誰が支払うのかという点にあります。社会保険の場合、保険料は「標準報酬月額」という給与のランクに基づいて計算され、その金額を会社と従業員で半分ずつ負担する「労使折半」が基本です。つまり、実際の負担額は本来の保険料の半分で済んでいることになります。一方、国民健康保険には会社負担という概念がありません。全額が自己負担となる上、前年の所得や世帯人数、資産などに基づいて計算されるため、会社員時代よりも負担が重く感じられるケースが非常に多いのです。

また、社会保険は給与額が同じであれば保険料も一定ですが、国民健康保険は自治体ごとに料率が設定されているため、住んでいる場所によって支払い額が変わるという特徴があります。さらに、社会保険は給与から天引きされるため未納のリスクが低いですが、国民健康保険は自分で納付書や口座振替で支払う必要があるため、自己管理が求められます。このように、算出の仕組みと負担の割合が根本から異なるため、退職後に国民健康保険へ切り替える際は、事前にシミュレーションを行っておくことが家計を守るために不可欠です。

扶養家族の概念があるかないかという大きな壁

家族がいる方にとって、最も注目すべき違いは「扶養」の扱いです。社会保険には扶養という制度があり、年収が一定以下の家族であれば、何人扶養に入れても世帯全体の保険料は変わりません。つまり、専業主婦(主夫)の配偶者や子供が何人いても、本人の給与から引かれる保険料は一人分で済むのです。これは家族が多い世帯にとって、非常に大きな経済的メリットと言えます。

対して、国民健康保険には「扶養」という概念そのものが存在しません。世帯全員がそれぞれ一人の加入者としてカウントされ、赤ちゃんから高齢者まで人数分の「均等割」という保険料が加算されます。例えば、会社を辞めて国民健康保険に切り替えた途端、これまで無料だった家族の分の保険料が上乗せされ、驚くような請求額になることがあります。世帯人数が多い家庭が独立や転職を検討する際は、この扶養の有無が家計に与えるインパクトを慎重に見極める必要があります。

傷病手当金や出産手当金の有無が将来の安心を左右する

医療機関にかかった際の窓口負担はどちらも原則3割で変わりませんが、万が一の際の「現金給付」という保障面では大きな差があります。社会保険の最大の強みは、病気や怪我で働けなくなった際に支給される「傷病手当金」や、出産のために仕事を休んだ際の「出産手当金」があることです。これらは休業中の生活を支えるための制度であり、給与の約3分の2相当額が支給されるため、長期間の療養が必要になった場合でも経済的な破綻を防ぐことができます。

しかし、国民健康保険には原則としてこれらの休業補償がありません。自営業者やフリーランスが病気で倒れて働けなくなった場合、その期間の収入は途絶え、医療費だけが出ていくことになります。一部の自治体では独自の給付を行っているケースもありますが、基本的には自己責任の世界です。このリスクを補うためには、民間の就業不能保険に加入したり、十分な貯蓄を確保したりといった個別の対策が必要になります。保障の厚さという点では、社会保険が圧倒的に優位であると言わざるを得ません。

健康保険の種別が将来の年金額に与える影響

健康保険の切り替えは、実は将来受け取る年金の額にも直結しています。社会保険に加入している場合、通常はセットで「厚生年金」にも加入することになります。厚生年金は将来、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして支給されるため、老後の生活資金をより多く確保することが可能です。また、厚生年金の保険料も会社が半分負担してくれているため、効率的に将来の備えをしていることになります。

一方、国民健康保険の加入者は、同時に「国民年金」のみに加入することになります(第1号被保険者)。国民年金は厚生年金に比べて保険料は一律で低いものの、将来受け取れる年金額も基礎部分のみとなるため、厚生年金加入者と比べると受給額に大きな開きが出ます。これを補うために、iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金といった付加的な制度を自分で選んで運用し、老後資金を積み増していく工夫が求められます。今の保険料の安さだけでなく、将来の受給額まで見据えた長期的視点での判断が大切です。

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ライフスタイルに合わせて最適な保険を賢く選ぶ

ここまで国民健康保険と社会保険の違いを見てきましたが、どちらが絶対に良いという正解はありません。大切なのは、自分の現在の年収、家族構成、そして将来のキャリアプランに合わせて最適な選択をすることです。例えば、退職後に国民健康保険料が高くなりすぎることが予想される場合は、前述の通り社会保険を最大2年間継続できる「任意継続」を選択する方が有利な場合もあります。また、家族の社会保険の扶養に入れる条件を満たしているなら、それが最も支出を抑える方法となります。

自営業として活動していくのであれば、国民健康保険の負担を前提とした事業計画を立てると同時に、不足している傷病保障や老後資金をどう補填するかを検討しなければなりません。一方で、会社員として社会保険の恩恵を受けながら働くことは、目に見えない多額の福利厚生を会社から受け取っているのと同じです。それぞれの制度のメリットとデメリットを正しく理解し、ライフステージの変化に柔軟に対応できる知識を持つことが、現代を賢く生き抜くための強力な武器となるのです。

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