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フリーランスや自営業、あるいは会社を退職した直後の方にとって、毎月の国民健康保険料の支払いは家計に重くのしかかる大きな負担です。しかし、その計算方法や複雑な仕組みを正しく理解している人は意外と少ないのが現状です。もし、あなたが「保険料が高すぎる」とただ嘆いているだけなら、もしかすると正当な軽減措置を見逃して損をしているかもしれません。この記事では、国民健康保険の基礎知識から、合法的に保険料を安く抑えるための具体的な節約術までをプロの視点で詳しく解説します。賢い知識を身につけて、無駄な支出を劇的に減らすための第一歩を踏み出しましょう。
そもそも国民健康保険とは?複雑な計算の裏側にある四つの要素
国民健康保険は、職場の健康保険に加入していないすべての人が加入する公的医療保険ですが、その保険料の決まり方は非常に独特です。基本的には「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」という四つの項目の組み合わせで構成されています。まず所得割は、前年の所得に応じて計算されるため、収入が多いほど高くなります。次に均等割は、世帯の人数に応じて一律にかかる金額です。平等割は一世帯ごとに定額でかかり、資産割は所有する不動産などの固定資産税額に応じて加算されます。
これらの項目のうち、どの項目を採用するかや、それぞれの料率をいくらに設定するかは、お住まいの市区町村によって大きく異なります。同じ年収であっても、隣の市に住んでいるだけで保険料が数万円単位で変わることもあるのが、国民健康保険の隠れた真実です。自分が住んでいる自治体がどのような計算方式を採用しているのかを知ることは、保険料の負担を理解する上で避けては通れないステップとなります。
なぜ保険料が高く感じるのか?前年の所得がもたらすタイムラグの罠
国民健康保険料が高く感じられる最大の理由は、保険料が「前年の1月から12月までの所得」をベースに算出されることにあります。例えば、前年まで会社員として高い給与を得ていた人が退職して自営業になった場合、現在の収入が少なくても、会社員時代の高い所得に基づいて保険料が請求されます。この所得と支払いのタイムラグが、多くの加入者を苦しめる原因となっています。
さらに、国民健康保険には会社員のような「労使折半」という仕組みがありません。会社員時代は健康保険料の半分を会社が負担してくれていましたが、国民健康保険では全額が自己負担となります。見た目上の金額が倍近くに跳ね上がるのはこのためです。また、40歳以上になると介護保険料も合算されるため、負担感はさらに増大します。この仕組みをあらかじめ理解し、退職直後や低収入時の支払いに備えておくことが、家計破綻を防ぐための重要なポイントです。
知っている人だけが得をする!保険料を正当に安く抑える節約術
国民健康保険料を安くする方法は、実はいくつか存在します。まず最も強力なのが、確定申告時の「経費計上」と「控除」の活用です。自営業者であれば、正当な経費をしっかり計上して所得を抑えることが、そのまま翌年の保険料削減に直結します。また、所得が一定基準を下回る場合には、申請することで均等割や平等割が2割、5割、7割と軽減される法定軽減制度があります。これは自動的に適用される場合が多いですが、未申告の状態では適用されないため、収入がゼロであっても必ず申告を行うことが鉄則です。
また、意外と知られていないのが「世帯分離」という手法です。世帯を分けることで、所得割の計算が有利になったり、軽減判定の基準をクリアできたりする場合があります。ただし、逆に平等割が二重にかかるなどのデメリットもあるため、自治体の窓口でシミュレーションを行うことが不可欠です。さらに、倒産や解雇など「非自発的な理由」で離職した場合には、前年の所得を大幅に割り引いて計算してくれる軽減制度があります。ハローワークで発行される雇用保険受給資格者証を持参して役所で手続きを行うだけで、保険料が半額以下になるケースもあるため、対象者は絶対に利用すべき制度です。
任意継続と国民健康保険の比較!退職後の賢い選択肢とは
会社を退職した際に、安易に国民健康保険に切り替えるのは危険です。選択肢として、以前の職場の健康保険を最大2年間継続できる「任意継続」と比較検討することが重要です。任意継続は会社負担がなくなるため保険料は2倍になりますが、多くの健康保険組合では保険料に上限額が設定されています。所得が高かった人の場合、上限のない国民健康保険よりも任意継続の方が圧倒的に安くなることが多いのです。
一方で、退職した年の所得が大幅に下がる予定であれば、2年目は国民健康保険の方が安くなる逆転現象も起こります。任意継続は一度加入すると原則として2年間やめられない(※現在は法改正により以前より柔軟に脱退できるようになりました)ため、慎重な判断が求められます。また、もし家族が社会保険に加入しており、自分の年収が130万円未満(60歳以上などは180万円未満)に収まるのであれば、家族の「扶養」に入るのが最もお得な選択です。扶養に入れば保険料の負担はゼロになります。自分のライフプランと照らし合わせ、どの制度が最も有利かを計算することが、賢い節約の真髄です。
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確定申告を味方につける!社会保険料控除による節税の相乗効果
国民健康保険料は、支払った全額が所得税や住民税の計算において「社会保険料控除」として所得から差し引くことができます。つまり、保険料を支払うことは節税に繋がっているのです。ここで重要なのは、生計を一にしている家族の分の保険料を自分が支払った場合、その全額を自分の控除として申告できる点です。所得の高い人が家族の保険料をまとめて支払うことで、世帯全体の税負担を効率的に下げることが可能になります。
このように、国民健康保険は単なる出費として捉えるのではなく、税金や他の保険制度と組み合わせたトータルなマネープランの一部として考える必要があります。自治体の窓口は、自分から質問や申請をしない限り、個別の節約アドバイスを積極的にしてくれる場所ではありません。しかし、制度を知った上で相談に行けば、親身に対応してくれます。まずは自分の通知書をしっかりと確認し、利用できる軽減措置や控除がないか、今一度チェックしてみることを強くおすすめします。


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